映画【グレートウォール】怪物“饕餮”とは?読み方は?

映画「グレートウォール」とは

2017年に公開された米中合作映画「グレートウォール」をご存じでしょうか。

「HERO」や「LOVERS」で知られるチャン・イーモウ(張芸謀)監督が製作した実質初のハリウッド映画です。

ハリウッドスターのマット・デイモン、香港の俳優アンディ・ラウ(劉徳華)など人気スターが出演しました。

そして、なんと制作費1億5000万ドル(約166億円)を投じた超大作です。

中国では11億7500万元(約191億円)となり、歴代興収ランキング21位の好成績を残しましたが、

中国以外では数字が伸びず、最終的に7500万ドル(約83億円)の赤字を出してしまったー。

はっきり言ってしまうと巨匠の “大コケ” 映画です。(※個人的には娯楽映画としては面白いと思いました)

映画「グレートウォール」のあらすじ

タイトルの「グレートウォール」(The Great Wall)は、万里の長城のことです。

原題は、中国語:长城(長城) / 英語:The Great Wall です。

中国 宋の時代、外部から定期的に襲ってくる 怪物 「饕餮(とうてつ)」を倒すために、”万里の長城” を築きます。

主人公のマット・デイモンらと協力して、饕餮の群れと戦う、というストーリーです。

怪物 【饕餮】とは

饕餮 の 読み方

すごく難しい漢字です。

饕餮
日本語読み:とうてつ
中国語読み:tāo tiè / タオティエ
英名   :taotie

别名
老饕 lǎo tāo / ラオタオ(中国語読み)
狍鸮 páo xiāo / パオシャオ(中国語読み)

饕餮 の 概要

中国神話に登場する怪物です。
四凶 (四大凶獣 / 四大凶兽) の一人だそう。

四凶(しきょう)は、下記の4体です。

中国語(簡体字)日本語読み中国語読み英語
饕餮饕餮とうてつtāo tiè (タオティエ)taotie
渾敦浑敦 / 混沌こんとんhún dūn (フンドゥン)hundun
窮奇穷奇きゅうきqióng qí (チョンチー)qiongqi
檮杌梼杌とうごつchóu wù (チョウウー)chouwu
四凶 の 読み方

時代と共に変わる 饕餮 の 見た目

羊の体、人の顔、目は左脇下、虎の牙、人の爪を持つ
一般的に言われている外観は、こんな感じですが、中国4000年の歴史の中で、様々な記述が見られるようです。

Wikipediaにも一応説明はありましたが、中国のサイト百度百科の方が少し詳しく書かれていました。
百度百科(中国語)の内容をもとに簡単に紹介します。

秦の時代(221-206)

《神异经·西南荒经》の記述
・南西部にいる
・毛むくじゃら
・頭は豚

《神异经·西荒经》の記述
・体は牛
・人面
・脇下に目
・人を食べる

《山海经·北山经》の記述
・体は羊
・人面
・脇下に目
・虎の牙
・人間の爪
・赤ちゃんのような鳴き声

春秋末期

春秋時代になると、四凶 の ひとつ と言われるようになります。

孔子《春秋》の記述
・”缙云氏” 一族の息子
・才能がない無能な息子

“缙云氏” は、中国神話の黄帝の時代にいた官僚の一族。
黄帝 は、中国の祖先と言われる人物で、司馬遷の “史記” の最初に登場する人物です。
ただ時代が古すぎるため遺跡等の史実を証明するものがなく、実在したかどうかは不明です。

史実とした場合は、紀元前3800年~紀元前1920年 の無茶苦茶古い時代と考えられています。

中国神話では、むかし、”三皇五帝” と言われる 三人の皇 と 五人の帝 がおさめていて、黄帝 は、この5人の帝の一人 とされました。

ちなみに、かの始皇帝は、この神話上の “三皇五帝” をも超える存在ということで、初めて “皇帝” という言葉を使い、この世で初めて自ら “皇帝” になりました。

始皇帝 は、万里の長城とも関係が深い人物です。

当時バラバラにつくられていた城壁をつなげ、”万里の長城” として最初に再構築したのが、この始皇帝でした。

戦国時代

《吕氏春秋·先识览》の記述
・首から上はあるが、身体は無い。
・人を食べるが飲み込めない。

漢の時代

《史記》の記述
・”缙云氏” 一族の息子
・食べ物や賄賂に貪欲

“史記” は、孔子の記述をもとにしているようです。
“不才子” という中国語が出てきましたが、いわゆる “出来損ない” の子どものことのようです。

四凶がどの一族なのかの記述もありました。

中国語(簡体字)日本語読み中国語読み一族
饕餮饕餮とうてつtāo tiè (タオティエ)缙云氏
渾敦浑敦 / 混沌こんとんhún dūn (フンドゥン)帝鸿氏
窮奇穷奇きゅうきqióng qí (チョンチー)少皞氏
檮杌梼杌とうごつchóu wù (チョウウー)颛顼氏
四凶

宋の時代

《路史·蚩尤传》の記述
・肉付きの良い(肉翅)を持つ獣。
・外観は痩せている

明の時代

《升庵外集》の記述
の一種

なんか、4000年の歴史での神話の話とはいえ、内容が変わりすぎて、もはや意味不明な見た目の怪物ですね。

儒教 で有名な ”孔子” も記述していたり、司馬遷 の歴史書 ”史記” にも登場するため、神話ではなく実在した人物である可能性もあります。
儒教は怪物のようなこの世にいない存在を認めない傾向もあるため、孔子が話をゆがめた可能性もあると思います。

しかし、最後には、翼が生えて、龍になってしまうんですか。。。

“饕餮” の見た目は、時代によって言い伝えがかなり変わっているので、この映画の捉え方もありな気はします。

万里の長城の歴史

せっかくなので、万里の長城の歴史にも簡単に触れたいと思います。

最初の城壁が築かれたのは、斉(紀元前1046年 – 紀元前386年)または楚 (紀元前11世紀 – 前223年)と言われています。

当時は、万里の長城のような長い城壁ではなく、いくつもの城壁がバラバラに作られていました。

その後、始皇帝(紀元前221年~紀元前210年)が、そのバラバラに作られていた城壁をつなげ、”万里の長城” として再構築しました。(ただし現在のような形になるのはずっと後の明の時代以降)

始皇帝がなくなった後、秦は滅亡します。

万里の長城は、その後、長い歴史の中で、荒廃して壊されたり、再築されたり、を繰り返します。

そして、唐の時代には、万里の長城は放棄されます。

そして、この映画の舞台とされる “宋” の時代も、唐の時代と同様に放棄され、万里の長城は中国史から消えた状態になっていました。

以上の神話・歴史と照らし合わせて考察してみる

時代を考える

時代考証は、”饕餮” がいたとされる時代は、
“三皇五帝” の 黄帝 の時代なので、紀元前3800年~紀元前1920年。

映画の設定は、宋の時代。
宋の時代は、2つの時代に分かれます。
北宋が、960年~1126年。
南宋が、1127年~1279年。

しかし、2800年という大きな “タイムラグ” があります。

初期の万里の長城が築かれた時代(紀元前)にすれば、そこまで大きなタイムラグはなかったはずです。
宋の時代設定にしたのは、衣装や武器の設定のためでしょうか。

まあ、ハリウッドの娯楽映画なんて、史実や時代考証より、面白さが最優先なんで、それでいいと思います。

中国史の主な出来事と中国ドラマを歴史年表順に並べた記事「中国ドラマの歴史年表」がありますので、よかったらそちらもどうぞ。

万里の長城 の作られた意味を考える

万里の長城は、匈奴(モンゴルの遊牧民族)の襲来に備えたものでした。

この映画では、匈奴ではなく、”饕餮” (とうてつ) と呼ばれる怪物の襲来に備えて万里の長城が作られます。

この映画の作者がどう思って製作したかはわかりませんが、匈奴 = 怪物 という意識があったのでは?と感じてしまうのは考えすぎでしょうか?

長い歴史の中で、中国人にとって、匈奴は、恐ろしい存在でした。

そして、同じようなモンゴルを悪役にした映画は、ディズニーアニメ「ムーラン」があります。

「ムーラン」もモンゴルの英雄「チンギスハン」を悪役に仕立てたストーリーでした。

自分は、仕事上、中国とずっと関係はありますが、
一方でモンゴルにも旅行に行ったことがあります。

こういう映画をみると、なんだか少しだけ複雑な気持ちになります。

この映画、中国だけはヒットした理由が少しわかります。

昨今の長津湖の映画がヒットした件しかり、中国人が戦争で勝利する映画が、中国人は他国民以上に大好きな気がします。

まあ、昨今の独裁振りを見る限り、中国人・漢民族以外は怪物と思っている中国人もいるでしょう。



時代考証はともかく、世界的・国際的にはちょっと感覚がずれてる気がします。

中国ではヒットしたものの、国際的には ”大コケ” した理由の一つかもしれませんね。

2017年の作品とはいえ、もう少しモンゴルとか国際的なことも考えて作品作りをした方がいいのでは、と思ってしまいました。

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