マーベルの映画「シャン・チー」は中国に媚びて製作されたんですか!?
映画「シャン・チー テン・リングスの伝説」とは
2021年マーベル(アベンジャーズなどの映画)の初アジア系主演ヒーロー映画として、「シャン・チー テン・リングスの伝説」が公開されました。
今回、中国系俳優主演でキャスト人のほとんどがアジア系という異色の作品ということで、中国との関係を徹底調査してみました!
今回、調査したところ、映画はいろんな意味でツッコミどころが多い面白い事実が多数発覚したので、ぜひ最後まで読んでください!
この記事のポイント
最初に分かった事実を伝えておきます。
この記事のポイント
・映画「シャンチー」は中国資本は影響していない。
・中国マーケットを意識して製作されたのは確か。
・主演俳優の中国政府批判により、中国本土で公開されていない。
・英語圏(アメリカ)では、女性からの評価が高い。
・アジア圏(中国、日本)では、主演俳優がブサイクという評価。
映画「シャン・チー」の概要
●英語タイトル : Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings
●中国語タイトル: 尚气与十环传奇
●日本公開日 : 2021/09/03
●アメリカ公開日: 2021/09/03
●中国公開日 : –
●製作国 : アメリカ、オーストラリア
●上映時間 : 132分
●ジャンル : アクション / アドベンチャー
あらすじも紹介します。
犯罪組織を率いる父親(トニー・レオン)に幼いころから鍛え上げられ、最強の力を持ったシャン・チー(シム・リウ)は、組織の後継者とみなされていた。だが、彼は自らの力を封印し、過去の自分と決別してサンフランシスコでホテルマンとして平凡に暮らそうとする。だが、伝説の腕輪”テン・リングス”を操る父親が世界を恐怖に陥れようとしたため、シャン・チーはついに封印していた力を解き放つ。
この映画「シャン・チー」ですが、全世界の興行収入4億ドルを達成。
Box Office Mojoの調べでも2021年公開映画で、9位にランクインしています。
※興行収入の味方は、別記事「世界各国の映画の興行収入を調べる方法」を参照してください。
映画「シャン・チー」と中国資本の関係
中国資本との関係はない
結論から言うと、製作上の中国との関係は、ありません。
俳優陣はアジア系の方が多く出演していますが、映画のロケ地はオーストラリアのシドニーのスタジオです。(中国が舞台のシーンもありますが、中国では撮影していません)
中国マーケットは意識していた
ただ、昨今のディズニー、マーベル映画は、中国のマーケットを意識はしているようです。
そもそも、今回、アジア系ヒーローの映画を製作する運びになった経緯が、中国マーケットを意識しての戦略でした。
ディズニー・マーベル側も中国側と過去に連絡を取っていたことは認めています。
もともとマーベルと中国の映画配給担当者との間で、中国系のマーベルキャラクターとして悪役の「マンダリン」かヒーローの「シャン・チー」のどちらかを近く登場させる話になっていたようです。
そして、今回、悪役よりもヒーローを先に登場させる方が中国マーケットや中国当局への受けはよいということで、映画「シャン・チー」の製作が決定しました。
マーベル側としては悪役「マンダリン」を先に登場させるつもりだったという話もありました。
中国マーケットを狙っているのに、中国系の悪役を先に登場させようとしてたって、マーベルのアジア戦略は大丈夫ですか?
原作の「シャン・チー」の漫画の主人公は、必要以上に黄色人種を強調したような肌色のキャラクターで、マーベル自体はあまりアジア系への理解は低いのが現実です。
ただ、年々、中国の経済発展とともに、中国の映画市場は巨大になっています。
2021年中国映画「長津湖」が全世界興行収入2位だったように、中国マーケットは無視できない状況になっています。
※「長津湖」については、別記事「【地図つき】「1950 鋼の第7中隊」(原題:長津湖) 21年世界興行2位の中国映画とは」を参照
主演俳優の中国政府批判により中国では公開されていない
中国マーケットを意識して作成はしたものの、現状、中国本土で「シャン・チー」は公開されていません。
その理由は、主演のシム・リウが過去に中国政府を批判していたことが原因のようです。
今回シャン・チーを演じた主演のシム・リウは、もともと中国北部の出身ですが、両親のカナダ移民と共に、幼少期からカナダで生活しました。
彼は、幼少期から両親に中国政府の批判を多く聞かされていたようで、シャン・チー製作よりずっと以前に某テレビ番組で中国政府の批判をしていたのです。
当時の発言が世界各国に大勢いる中国人のネットユーザーに見つかり、問題になってしまったのです。
娯楽映画とはいえ、ビジネスであり、巨大マーケットである中国を意識するのは、少し納得。
でも残念ながら、中国で劇場公開されていないんだね。。。
海外での評価
この映画、アメリカ製作ですが中国も大きくかかわるようです。
アメリカと中国での映画レビューサイトでの評価を見てみましょう。
IMDbでの評価
アメリカの映画レビューサイト「IMDb」の評価をみてみました。
10点満点中、平均7.5点と、なかなかの評価です。
意外なのは、アメリカでは、女性からの評価が比較的高いことです。
Rotten Tomatoesでの評価
Rotten Tomatoes での評価はどうでしょう。
批評家の91%以上が、よい評価と判断しています。
一般観客の評価も98%以上が良い評価となっており、非常に高評価です。
- 想像してたよりよかった。(高評価)
- 演技、音楽、テンポがよかった。(高評価)
- バトルシーンが執拗すぎた。(低評価)
- ライオンや馬、龍など、別のディズニーで以前みたものと同じものばかりで退屈だった。(低評価)
レビューコメントは、こんな感じでした。
豆瓣电影での評価
中国の映画レビューサイトでは、どうでしょうか。
前出の通り、中国では劇場未公開になっていますが、中国以外で鑑賞した中国人が、レビューを投稿しています。
10点満点中6.1点と、アメリカ側の評価に比べると、厳しめです。
“豆瓣电影” のレビューは全体的に厳しめなことが多いですが、具体的なマイナスレビューはどのようなものが多かったのでしょうか。
- 主役があまりイケメンでなかった。
- 悪役のトニーレオンが主人公の方が良かった。
マーベル映画初のアジア系ヒーローが主役の映画なのに、主演が思っていたほどイケメンでなかったと思った観客が多かったようです。
アメリカのレビューサイトでは、主役の容姿にかかわる評価はなかったよね。
ちなみにYahoo Japanの検索でも「シャンチー」の関連キーワードとして「ブサイク」と出てきます。
残念なことに日本人もブサイクと思っていた人が多かったようです。
主演はブサイクなのか?
最後に、演じた俳優について少し調べてみました。
主演、シャン・チー役:シム・リウ
中国北部 黒竜江省のハルビン出身。
5歳のときに、両親とともにカナダのオンタリオ州へ移民。
幼少期から大学まで、カナダで生活しているため、中国語は、あまり話せないようです。
カナダのテレビ番組では有名らしいです。
ヒロイン、ケイティ役:オークワフィナ
ニューヨーク出身のラッパー。
両親はアメリカ人ですが、父は中国系、母は韓国系なので、血筋はほぼ完全にアジア系です。
悪役、シャン・チーの父親役:トニー・レオン
香港出身の俳優。
日本人でも割と知っている作品にも出演しています。
カーウァイ監督作品『2046』(2004年) 木村拓哉と共演
チャン・イーモウ監督作品『HERO』(2002年)
ジョン・ウー監督作品『レッドクリフ』(2008年)
ただ、ハリウッド映画の出演は、今回の「シャン・チー」が初めてらしいです。
欧米人からすると、アジア系がイケメンかどうかは、あまりわからないのかな。
確かに主演俳優より、悪役のトニー・レオンのほうが実績があり、イケメンのようにも見えます。
イケメンかどうかは、人の好みにもよると思いますが。。。
最近のディズニー映画だと、「アナと雪の女王」もイケメンのハンス王子が悪役でしたね。
最近は、イケメンが悪役のパターンが流行っているのでしょうか。